自律機能とは?

人間には、生きるために必須の働きがあります。
循環、呼吸、消化、代謝、分泌、体温維持、排泄、生殖などです。

これらの働きは「自律機能」と呼ばれています。
人間の意識による制御を受けません。
中枢神経(脳・脊髄)で制御され、無意識でも自動的に働くようになっています。

心臓の拍動や食物の消化すべてを、いちいち意識していたら休む暇もありませんよね。
眠っていても働くように、オートメーション化されているのです。

自律神経とは? 交感神経・副交感神経について

「自律機能」に必要不可欠なのが、「自律神経」です。
そのうち中枢神経(脳・脊髄)からの指令を内臓へ伝える神経が2つあります。
「交感神経」と「副交感神経」です。

「交感神経」は、身体を活動に適した状態にします。
昼間のオンの状態です。
「副交感神経」は、身体を休息・回復させます。
夜間のオフの状態ですね。

交感神経と副交感神経

実際には、昼と夜とではっきりと担当が分かれる訳ではありません。
概ね1日24時間の半分程度を、それぞれの神経の働きが優位になることで、人間は丁度よいバランスがとれているのです。
例えるならば、シーソーか天秤が片側に傾くように、変動をし続けるような仕組みです。

自律神経失調症とは?

しかし、ストレスに晒される時間や夜更かしが長く続くと、それに伴い交感神経優位の時間も長くなります。
副交感神経優位の時間は短くなり、充分な休息が取れなくなります。
結果として、交感神経と副交感神経のバランスは乱れます。

その乱れが自律神経に及び、循環、呼吸、消化、代謝、分泌、体温維持、排泄、生殖などの自律機能に何かしらの失調をきたすことがあります。
これを「自律神経失調症」と言います。

鍼灸は自律神経反射のメカニズムを利用している

鍼灸をすると自律神経のバランスが整う。
鍼灸は自律神経失調症に効果が期待できる。
このように言われています。
その理由は、鍼灸が自律神経反射の1つ「体性内蔵反射」を利用しているためです。

鍼やお灸などの体表の刺激が、感覚神経を通して中枢神経へ伝えられます。
中枢神経からの反射作用が、自律神経(交感神経・副交感神経)を経由して内臓へ伝わり、様々な影響を与えるのです。

お腹が痛い時、痛むところをさすったり手で押さえたりしますね。
そうすると痛みが和らぐことがありませんか。
これも体性内蔵反射の1つです。

鍼灸と免疫力

さらに鍼灸は、自律神経を介してホルモン分泌が整えられ、免疫力が高められる可能性があるとも言われています。
「自律神経系」、ホルモン分泌に関わる「内分泌系」、生体内侵入物を排除する白血球や抗体などの「免疫系」は、相互に作用し合っているためです。
詳細な研究はまだされていませんか、そのように推測されています。

参考文献

  • 社団法人 東洋療法学校協会編 佐藤優子・佐藤昭夫・他著(2003)『生理学 第2版』医歯薬出版株式会社
  • 社団法人 東洋療法学校協会編 教科書執筆小委員会著(2002)『はりきゅう理論』医道の日本社